「嘘の木」という単行本を読みました。
著者はフランシス・ハーディングをいう方です。
タイトル「嘘の木」を見た第一印象では大量に嘘をつく話なのかと考えましたが、そういうわけではなかったです。
登場人物もフィクションとノンフィクションを行き来するような、
実在しそうでしないギリギリのラインのキャラクターばかり。
序盤は正直、
なんだか堅苦しい世間体の話なのかと心配になりました。
現代からかなり昔の時代の話で、聖書に関する教えも散りばめられています。
チャプター10、111ページから物語が急旋回、
急展開を見せます。
読みながらだんだんと比喩の巧みさに心を持っていかれました。
複数に枝分かれする伏線とどっしりと根付いた人間の業、
みたいな本来持ち合わせている性質を考えずにはいられない気持ちになります。
409ページまでページを繰る手がよどみなく進み続けるのではと想います。
宗教にまつわる議論のシーン、
過去の時代の男女の立場、扱いの違いが鮮明に描かれていて
「ああ、無宗教ではない、外国の小説だなあ」と感じました。