森下典子さんの著書
『日日是好日 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』
という本を読みました。
2002年に単行本が出てから長い期間愛されてきた作品です。
2008年に文庫化。
さらに2018年に映画化もしている作品。
「茶道」を通じて「生きること」への気づきをたくさん得ることができたという内容。
お茶の世界ってなんだか別世界のような気がしていましたが、
この作品を読むことでずいぶん自分が誤解していたことがわかりました。
それこそ温かいお茶でも飲みながらゆったりと味わって読める
ほっとする作品です。
目次
日日是好日の読み方はにちにちこれこうじつ、禅語。その解釈とは
日日是好日(にちにちこれこうじつ)とは、禅で出てくる言葉です。
日本語の禅語としては「にちにちこれこうにち」と読むのが正しいとされるが、「にちにちこれこうじつ」とする例もある。
日常的な表現としては「ひびこれこうじつ 」とも読み、その読みで作品名などになっている例もあるが、同様に「ひびこれこうにち」、「ひびこれよきひ」とする例もある。
「日日是好日」は、表面上の文字通りには「毎日毎日が素晴らしい」という意味である。
そこから、毎日が良い日となるよう努めるべきだと述べているとする解釈や、
さらに進んで、
そもそも日々について良し悪しを考え一喜一憂することが誤りであり
常に今この時が大切なのだ、
あるいは、あるがままを良しとして受け入れるのだ、と述べているなどとする
解釈がなされている。
日日是好日を英語で言うと、
「every day is good day」がちょうどいいでしょうか。
作品の中で主人公典子さんの先生は「にちにちこれこうじつ」と読んでいたので、
著者もそれにならってきたそうです。
ストーリー形式、時系列順に話が展開します
進路に悩む、主人公の森下典子さん。
ふとしたきっかけで近所に住む「武田のおばさん」からお茶を習うことにします。
そしてお茶・茶道に打ち込みながら日々を過ごすうちに、
たくさんのかけがえのない「気づき」を得てゆきます。。
茶道の型をひたすら反復、反復、反復。
茶道には一定の型があるそうです。
「畳1帖分を6歩で歩く」とか
「最後の一口はかならず音をたてて飲み切る」といったルールがあります。
…とても堅苦しいです。笑
著者の森下典子さんもお茶を始めた当初から堅苦しさに四苦八苦していたようですね。
ただ生きる。じっくりと自分を育てていく
何年も何年も、
お茶に取り組みながら型を身につけていくうちに、
典子さんは人生の岐路に何度も立ち止まることとなります。
落ち込んだ時、
失敗した時、
そんな時にも茶道は
「ただそこに在る」
人生の新しいステップに進みながら、何度も季節が移ろいます。
武田先生が毎週土曜日にかかさず用意してくださる
四季折々の和菓子、掛け軸、生け花。
雨の日や雪の日の匂い。
日没までの日の長さ。
お茶の味やちょっとした水の音の違いなどの変化と同時に、
「生きること」への気づきや、
茶道との向き合い方に変化が生じていきます。
型には「理由」があり、ひとつの大きな流れの一端でしかなかったのでした。
日日是好日が映画化されたようです
主役の典子役を黒木華さん、
典子が通う茶道教室の武田先生役を樹木希林さん、
典子と一緒に茶道教室へ通う従姉役を多部未華子さんが演じてます。
監督・脚本は大森立嗣さん。
2019年02月現在、上映中なのでDVDやBlue-rayになるのはまだ先ですね。
映画「日日是好日」のサウンドトラックだけ発見しました。
冒頭で紹介されていた「道」という映画も見てみたい
フェリーニ監督の「道」という映画があります。
著者の森下典子さんがその映画をはじめて見たのは小学生の時で、
当時は面白さが理解できなかったけれど
十年後に改めて見るととても感動して涙をボロボロ流したそうです。
同じように、
世の中には
「すぐにわかるもの」と
「すぐにわからないもの」があると言います。
「お茶」も同じく何度も何度も味わって、
新たな発見を増やしていくのが面白いんだということです。
「日日是好日」を読んで、お茶をやってみたくなったし「道」を見てみたくなりました。
感想、ゆったり味わって読める一冊
日日是好日 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ
最初に刊行されたのは2002年。飛鳥新社。
そして2008年に新潮社で文庫化され、版を重ねて
2018年に映画化、29刷。
かなり長い期間をかけて、売れ続けている作品なんですね。
物語の中には「時代遅れ」と感じるような物事は出てきません。
だからこそ、いつの時代も愛される作品なんでしょうね。
ゆったりとした語り口なので、味わいながら読める一冊でした。
なんと続編があるらしいので、そちらも読んでみたいです。