「本と鍵の季節」という小説を読みました。
米澤穂信(よねざわほのぶ)さんの著書、集英社刊。
二人の高校生が謎や疑問を解いていくミステリー小説です。
帯に書かれている以上の情報は書きません。
ネタバレなしです。
ぼくの感想を書きます。
「おお!そうなるのか!」
っていうひっくり返し方も
「うわ!嘘だろ!」
っていう驚きも
ふんだんに散りばめられている今作。
そしてどこか寂しげな事件の数々。
何度か鳥肌が立ちましたし、
続きが気になってページを繰るスピードはわりかし早かったです。
目次
メインキャストは二人の高校生、図書委員です
二人の高校生が登場します。
主人公と、
同じ図書委員の松倉詩門(まつくらしもん)くんです。
タイトルに本とついているだけに、
本にまつわるストーリー展開が読書好きの心を掴みに来ます。
爽やかでほんのりビターな図書室ミステリとは、よく言ったものです
いくつかの「事件」が起こり、それを解決していくストーリーです。
事件というよりは謎解きに近いかもしれない。
「起」で謎が発生して、
それを解決すべきことだという空気になる。
「承」で情報が明るみになったりする。
その仮説を元に検証してみる。
「転」でアクシデントや情報の齟齬が浮き彫りになる。
「結」でその事件の結末に至る。
…だいたいはこのような流れのストーリーが多かったです。
推理小説ってくくり方をすれば、おおかたこの流れでしょうか。笑
けどね、なんなんでしょうね。
「起」からもうすでに独特というか。
スタート地点がなんだかありえそうでありえない形な印象なので、
続きの「承」「転」「結」も気づいたら明後日の方向に着地している。
そんな気がするのに、ガッツリと伏線はばらまかれていたことに気づき
ハッとさせられる。
折り方を知らないけど、
とりあえず指示通りに折り紙を折り続けていったら
ものすごくよく飛ぶ紙飛行機が作れちゃった!
…みたいな不思議な達成感があります。笑
独特の「寒気」が感じられました
何度も鳥肌が立ちました。
展開のひっくり返し方がうまいです。
加えて、どことなく常に漂う「寂しさ」に近い焦燥感。
これはなんなんだろう…
ギリギリストライクゾーンに入っていることを願いながら例えると、
季節の変わり目のやや冷たい風がずーっと吹き続けている感じ。
楽しい時間はまだまだ終わって欲しくないのに…
そんなときに限って、薄着で出てきてしまったから体感的には早く温かい室内に駆け込みたい…
そんな感じです。笑
気になったら試しに読んでみてください。
そしてその「寒気(さむけ)」を
共感してくれたら
ぼくは少しほっこりします。